シリーズ1・「なぜシミができたか」がわかれば、ぴったりの改善策が見つけられる

③シミ・シワができる最大の原因は、紫外線による光老化

赤ちゃんの肌には、シミがありません。
しかし、年齢を重ねるうちにシミはできてきます。つまり、シミは一種の老化現象と言えます。
そしてその原因は、紫外線によるものが一番大きいのです。
紫外線にはメリットもあり、皮膚に当たることで活性型ビタミンDが作られます。
ビタミンDは、骨の形成に関与し、骨粗鬆症を予防したり、筋肉の収縮をスムーズにするほか、
最近の研究では、がんの抑制作用についての報告もあるようです。
しかし、紫外線が老化を促進させるというデメリットについて、数多くの報告がされています。
まず、紫外線の中でも波長が長いA波(UVA)は、真皮まで到達し「フリーラジカル反応」と呼ばれる連鎖的な酸化反応を引き起こします。フリーラジカル反応が起こると、皮膚のハリを維持するのに必要な成分であるエラスチンやコラーゲンの分解酵素(エラスターゼ・コラゲナーゼ)が活性化します。
すなわち、紫外線A波により、エラスチンやコラーゲンがどんどん破壊されていくため、皮 膚がハリや潤いを失い、シワやタルミが生じるのです。
また波長が短いB波(UVB)は、表皮内でメラノサイトやケラチノサイトの遺伝子を傷つけます。メラノサイトの遺伝子が損傷すると、メラニン色素が異常産生され、ケラチノサイトの遺伝子に異常が生じることで、ターンオーバーが乱れます。このようにして、シミができてしまうのです。
これらの紫外線によりシワやタルミ・シミといった老化現象が進むメカニズムを総じて「光老化」と言います。
最近の皮膚科学では肌老化の原因のうち、80%が光老化(残りの20%は自然老化)であると考えられています。
光老化は正しくケアすれば進行を抑えることができます。
その方法は大別すると3通りあります。
まず第1に紫外線の防御、次いで、紫外線が引き起こすフリーラジカル反応を軽減すること、そして、紫外線から受けたDNAのダメージを修復することです。
これらの方法を並行して行えば、光老化の抑制効果は大きくなります。

2008年、ボストン医科大学皮膚科学研究科のバーバラ博士は、紫外線を人体に照射した際、ビタミンDの生成量、遺伝子へのダメージ量について発表した。30分以上紫外線を照射しても、血液中のビタミンDは一定量以上増えず、DNAのダメージ(=人体への悪影響)のみ増加することを示した。この文献が、近年の皮膚科学において参考や引用元として、数多く用いられている。